これは性的虐待のみにとどまらず、子供時代に身体的虐待や、精神的虐待を受けた方に多く見受けられます。
特に恋人や配偶者になると、気分が安定しているときは上機嫌なのに、なにかのきっかけで相手との信頼関係に不安を覚えた瞬間に、「上手くやっていけない」「浮気してる(した)」や「別れる」という言葉を用います。
突然豹変したパートナーに驚く相手は当然のごとく、激しく動揺し、その発言を撤回させようとするあまり、大ゲンカになることも。
人によっては物を投げたり、壊したり、「自殺してやる」と自分を傷つけたり、ヒステリックになったり、大声を出したり、暴れたり、相手の身体を傷付けるなど、さらに深刻な事態に発展することがあります。
これは「境界性パーソナリティ障害」と呼ばれる状態と酷似しています。
しかし、この状態は永遠にこのままではありません。
「虐待の後遺症なのだ」と、冷静に本人と周囲が問題を見つめて、
回復への道を歩みだしたときに、次第に激しい感情の起伏は収束していきます。
ただし、「本人の自信・自由・安心」を確保しない環境や人間関係がある限りは、いまある本人の環境が相変わらず「幼少期と変わらない」ので、当然、回復への大きな妨げになります。本人自身が問題の根本原因に気づき、その環境や人間関係を、自らが選択して、変化させるか、手放していくことが必須条件になります。
このことについては、まだ学術的発表を得ていませんが、いままでBe39に寄せられた相談の共通点であるので、皆さんにシェアしたいと思いました。
「後頭部がしびれる」
「血の気が引く感じ」
「後頭部の皮が引っ張られて中央に吸い込まれる感じ」等々。
大体フラッシュバック(トラウマの原因となる事象場面を想いだしたりすること)のタイミングで、このようになるようです。
もちろん、サバイバーである私もです。
不思議なのですが、
いままで相談を受けた方のうち、99%の確率で、同じような症状をお持ちなのです。
いったいこれはなぜなのでしょうか。
同じ症状に苦しむ方が、このサイトをご覧になり、
回復への一歩を踏み出されることを願っています。
(mano)
研究チームは、4-17歳までに3回以上の性的虐待を受けた米国人の女子大生(18-25歳)23人と、虐待されたことのない同年代の女子大生14人の脳を比較した。
その結果、大脳半球の後ろ側にある後頭葉の視覚や空間認知をつかさどる「一次視覚野」が、虐待を受けた女子大生の方が14・1%小さかった。
思春期を迎える前の11歳までに性的虐待を受けた人の方が、萎縮の割合がより大きかった。この萎縮によって、注意力や視覚的な記憶力が低下するなどの影響が考えられるという。
また、言葉の暴力を対象とした研究では、4-17歳までに保護者から侮辱されたり、
暴言を吐かれたりする経験をほぼ毎日受けた18-23歳の男女22人の脳は、
そうでない同年代の20人の脳に比べて、大脳半球の側頭葉のなかで聴覚をつかさどる「上側(じようそく)頭回(とうかい)」が左脳で9・2%、右脳では9・9%小さかった。
殊に男性は萎縮の割合が大きく、左脳が15・9%、右脳が13・8%縮んでいた。
側頭葉だけでなく、頭頂葉にある言語を理解する部分にも萎縮がみられたという。
萎縮は、虐待をストレスと感じた脳が副腎皮質ステロイド(ストレスホルモン)を大量に分泌し、
成長している子どもの脳の一部の発達を一時的に止めることから起きると考えられている。
では、なぜ虐待の種類によってストレスホルモンが影響する部分が違うのだろうか。
友田准教授らの研究チームは、このようにみている。
例えば性的虐待は、親族など身近な人が加害者となることが多い。信頼している相手から思わぬ被害を受けた子は、
その行為や相手の姿を見ないように、言葉の暴力を受けた子は、自分を傷つける言葉そのものを聞こえなくするため、
無意識のうちにストレスホルモンが働いて脳を萎縮させているのではないか-。
友田准教授は「防衛本能によって外界から脳への感覚的な情報を拒絶するような、悲しい“発達”を遂げたのではないでしょうか」という。
厚生労働省によると、2007年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待の件数は4万件を超す。
身体的虐待やネグレクト(育児放棄)は1万5千件以上だが、性的虐待は1293件と全体の約3%に過ぎない。言葉の暴力を含む心理的虐待も次いで少ない7621件(約19%)だった。
件数が少ない背景として、性的、心理的虐待は、身体的虐待のように目に見えるあざや傷が残らないため、周囲が気付きにくいということがある。
言葉の暴力による心理的虐待は、怒鳴り声を耳にした近くの住民からの通報などで発覚することもあるが、
幼児期の性的虐待は、被害者である子どもが性的行為の意味が分からず、言葉でも表現できないため表面化しにくい。
身体的虐待を受けた児童が保護された後、性的虐待を打ち明ける例や「妊娠したかもしれない」と子どもが病院を訪ねて発覚した例もある。
友田准教授は、虐待による脳萎縮の研究が進めば、発覚しにくい虐待を裏付ける手段の一つにもなると考えている。
その上で「萎縮する前に、被害に遭っている子どもの小さなサインに気づき、一刻も早く保護することが重要」と呼び掛ける。
年齢が低いほど、適切なケアを受ければ萎縮が回復する可能性があるという。
(出典:「医科歯科通信」)